日常

暇な時に書くエッセイ

調和

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自分の担当で最初に解体工事に取り掛かってから、もうすぐ3年が経とうとしている現場がある。

 

こういった場所なので控えめに言うが、数々のトラブル、逆風を乗り換え、正解もなく、しかし失敗は許されない中、判断を下し、今やっと最後の工事に取り掛かっている。

 

3年の間に自分は現場監督から設計に戻ったが、これは自分の物語なので、他の監督はつけず、自分が監督として動いている。

 

こんな案件だと必然的に施主さんとの関係も深くなった。

 

現場確認に行った時、たまたま顔を合わせると、自分の息子に久しぶりに会ったかのような笑顔で私の名前を呼んでくれるのが嬉しい。

 

家に呼ばれ、他愛もない話をしている時、外は桜が満開で晴天、そよ風の動きが感じられ、工事の音と話し声が響くリビング、写真やバカラのグラスが置かれている棚、趣味の詩集や、フローリングの色艶、全体が調和しているように感じた。

シーンとして印象に残っている。

 

きっと人と空間の関係性が良い状態だったのだと思う。

 

そこに住宅のあり方を感じられた気がしたのだ。

 

残りの工事も僅かだが、上手く終えたいところである。